ヤチホコの神の歌2

ヌナカワ姫が戸を開けぬまま内から歌ったうた

ヤチホコの 神の命
ぬえ草の 女にしあれば(なよなよした女ですから)
我が心 浦渚の鳥ぞ(わたしの心はおちつきのない海鳥のよう)
今こそは 我鳥にあらめ
後は 汝鳥にあらむを(いずれはあなたの思い鳥になるのだから)
命は な殺せたまひそ(どうか鳥を殺したりなさいますな)
いしたうや 海人馳使

事の語り言も 是をば

青山に 日が隠らば
ぬばたまの 夜はいでなむ(夜になったらおいであそばせ)
朝日の 笑み栄え来て(太陽のようなにこやかな笑顔でおむかえいたしましょう)
栲綱の 白き腕(細く白い腕)
沫雪の 若やる胸を(やわらかい胸を)
そだたき ただきまながり(撫でそして抱きすくめ)
真玉手 玉手さし枕き(手と手をからませて)
股長に 寝は寝さむお(ももくつろげて共寝いたしましょう)
あやに な恋ひ聞こし(むやみとじりじりなさいますな)
ヤチホコの 神の命

事の語り言も 是をば

かなーりなまめかしい女の気持ちを表現しています。
あまりに露骨です。
おもしろいので自分で勝手に訳してみました

これが演劇なら当時の人々はこの場面に沸いたのではないか。
1はヤチホコの神が想いかなわず朝を迎えてしまって憤まんやるかたなくそこらの鳥にあたりちらしている場面。じらされてヘタレているオオクニヌシはかなりこっけいです。
2の場面のヌナカワ姫は露骨なまでになまめかしい。官能的なセリフとしぐさはリアル!
この一連の歌はお芝居仕立てですから、観客はよほど盛り上がり大ウケだったにちがいありません。
4の歌にのそっくりそのまま繰り返されています。
こういうのをなんというのだろう。恋愛活劇とでもいうのだろうか。
今でいうセックスシーンかな
それとはちょっと趣きがちがうような気がする。